日本初の燃やさないごみ処理を視察

~香川県三豊市の「トンネルコンポスト方式」~
7月11日、「トンネルコンポスト方式」の可燃ごみ処理施設を見学しました。

搬入された可燃ごみを破砕機へ

三豊市では、可燃ごみ焼却施設が寿命の30年を迎え、当時の市長が「ごみは資源」という理念の下、燃やさないごみ処理を目指しました。プロポーザル方式により、株式会社エコマスターの「トンネルコンポスト方式」が採用されました。

「トンネルコンポスト方式」は市民と事業者の可燃ごみを粉砕し、土着の菌を投入して攪拌し、トンネル内で17日間発酵させます。発酵によって生ごみはほぼ消滅し、その他の紙やビニールなどは発酵熱によってカラカラに乾きます。乾いた物は四角く固め、親会社が固形燃料の原料として、有料で引き取り、固形燃料は大手製紙会社が購入、石炭の替わりに使います。この固形燃料は、石炭よりもCO2 が少なく環境負荷が小さくてすみます。

心配される近隣への臭気はほぼゼロ。入口は二重扉で、ごみの臭気が外に漏れることはありません。また発酵の過程で発生する臭気も、ダクトを通ってバイオフィルターに運ばれ、厚さ2メートルの木質チップを通過する間に吸着されますので、微かに木屑の湿った匂いがするくらいです。また「トンネルコンポスト方式」では発酵の過程で水分が無くなりますので、処理水が発生しません。

三豊市は可燃ごみの処理を年間約2億6,700万円で(株)エコマスターに委託しています。委託前の費用とほぼ同額ですが、建設費(約16億)とメンテナンス費用、人件費は(株)エコマスターが負担しているので、これまで通り市が建設し(建設費は約50億)、事業を行うより市の負担額は大きく減っています。

「トンネルコンポスト方式」は、環境や財政の面からいいことづくめですが、石炭燃料の代替として固形燃料を使う施設が身近にあるかが課題になると感じました。また生ごみは資源であることを考えると、本来は肥料として土に戻すべきなのではないかとも思いました。

いずれにしてもこれからのごみ処理は「ごみは資源」という理念に学び、「脱・埋め立て」「脱・焼却」の方向性を模索し続けるべきだと考えます。