認知症になっても その人らしく暮らせるまちづくり(6月議会)
今年3月に実施された認知症に関する調査によると、自分自身が認知症を発症することに関して約6割が、家族の認知症に対しても約5割以上が「向き合う自信がない」と回答。認知症が老後の大きな不安材料になっていることがわかりました。「高齢者の4人にひとりは認知症」「認知症800万人時代」、都内でも団塊の世代が後期高齢者になる2025年には、何らかの認知症状を有する人が、約60万人とも推計されています。認知症にならないよう、生活習慣病の予防や身体機能の維持向上など、個人の課題としても認識されるようになってきています。
2018年度から始まる認知症総合支援事業は、市町村が行う事業となり、地域の力が試されます。「認知症になってもより良く生きられる社会」「安心して暮らせる地域」を目指す市の各種施策について、課題を共有した上で、今後に向けての新たな提案も加え、質問しました。(主な質問概要を掲載)
質 問1)2018年度に向けた日野市の認知症対策強化・介護と医療の連携・地域資源
答 弁:認知症の初期対応については、認知症の疑いがある方を早期に治療につなげるため、認知症初期集中支援チームを今年度中に設置する方向。認知症初期集中支援チームは、平成29年度、市立病院近くに誘致予定の認知症専門病棟を持つ医療法人社団充会を認知症総合拠点とすべく調整中。初期集中支援チームが設置されるまで、八王子市の平川病院から医師や看護師、医療相談員等が高齢者の自宅に出向いて受診につなぐための鑑別診断を行なうアウトリーチチームを派遣。個別のケース対応は地域包括支援センターが行っているが、両者のつなぎ役として、昨年から認知症支援コーディネーター1名を配置。
認知症と診断された後治療が継続できるためには、かかりつけ医による服薬治療、薬剤師・訪問看護による服薬管理といった多職種による連携が欠かせないため、市内に医療法人社団充会を拠点とする初期集中支援チームを設置し、より緊密な連携を図りながら体制づくりをすすめていく予定。
認知症ケア向上推進事業は、認知症ケアに携わる多職種のスキルアップや家族への支援を推進するもの。日野市では、認知症家族介護者講座、認知症カフェ等の家族支援及び多職種連携研修を実施。常設型認知症カフェが平成27年度に1か所開設。
質 問2)「病院モデルから生活モデルへ」は「地域で出歩ける環境づくり」と「家庭へのサポート」
答 弁:医療法人社団充会を誘致することで、認知症の早期発見・早期治療の体制が整い、認知症の方が地域で安心して生活できる環境となる。
これに併せて、家族外出時の一時的見守りサービス、継続的な見守りサービスについては、既存の社会資源でボランティアや介護保険外のヘルパー派遣事業等があるが、十分に活用されていない。認知度を高めるため、6月から運用を開始する認知症ケアパス(地域で生活するため、地域・医療・介護の人々が目標を共有し、それを達成するための連携の仕組み)に、利用できるサービスとして位置付けて記載している。
また、ショートスティ及び特別養護老人ホームの開設に向けた取り組みについては、2施設を誘致し、平成28年と30年に開設予定。ショートステイが合計36床、特別養護老人ホームが計240床、新たに確保される。
多職種連携ガイドと連携シートは、介護・医療の関係者間の情報のやり取りを効果的かつ円滑に行うための連携支援ツールとして、平成26年度より市内の事業者間での運用が開始されている。関係者間の情報共有は、有機的な連携体制の要となる。連携支援ツールの機能が効果的に発揮されるよう、周知と改善に努めていく。
質 問3)家族支援の課題と取り組みについて
問題は、高齢者の支援で家庭に入った時に、80代の親と50代の引きこもりの子や未就労・未受診・未年金の40代~65歳未満の精神疾患などの子どもが同居しているケースが多いことです。つなぐ窓口、担当部署がないため、支援しなければならない高齢者を支援できない。との声も多く頂いています。
答 弁:平成27年度にはじめて、社会福祉法人マザアスが自主的に運営する常設型認知症カフェ「あったカフェ」が市内に開設された。平成27年度は745名の利用。また、地域包括支援センターがコミュニティカフェを運営している団体の協力を得て、月に1回の認知症カフェの活動を実施。7月から3月までの間で254名の参加。市としては、認知症カフェを増やせるよう取り組んでいく。
平成27年4月に、「福祉の初期総合相談窓口」を開設し、生活困窮等、幅広く相談を受けている。また、生活困窮等の自立支援に関することは、「くらしの自立相談支援窓口 みらいと」として、セーフティネットコールセンターと、多摩平6丁目サテライトセンターの両方で受け、課題、ニーズ等をしっかりと聴き取り、必要があれば関係各課、関係機関につなぎ、包括的に支援をしている。
◆教育長からは、全小中学校でのサポーター養成講座の実施について、老人福祉施設を訪問した体験学習で「見ないふりをしない、言葉をかける」と子どもの感想が紹介された。時間数を確保するのは工夫が必要。どうカリキュラムをデザインするか各学校に話したい。
◆市長からは、問題行動を恐れていた時代から地域で支え合う時代に、まさに病院モデルから生活モデルにかわりつつある。一歩進んだ手助けができる地域の支え合いを作る必要がある。要望を出来るところから進めて行きたい。
◆要望と提案◆
1.全小学校・中学校で認知症サポーター養成講座の実施要望
2.認知症徘徊高齢者SOSネットワークを使った徘徊模擬訓練の実施の提案
3.地域協働課が実施している地域懇談会への認知症サポーターの参加の提案
4.「日野市成年後見制度利用支援にかかる費用助成」枠の増幅を要望
5.東京都の「認知症の人と家族を支える医療機関連携型介護支援事業」による新たな認知症カフェの開設要望と夜の認知症カフェの提案