3・11の東日本大震災以来、「やっぱりちゃんと考えて暮らさないといけないな」と思うことが多くなりました。今回、地上波テレビ番組を観ていて、もどかしい思いをしました。地上波テレビ番組に呼ばれる専門家はみんな「安全です」としかコメントしません。テレビ局自体が東京電力の権力下に位置し、多くの原子力学者は東電から研究費をもらい、その学部の学生は東電に就職していくという構図の中で、「本当は何が起こっているのか」「今後再び想定外の事態になればどうなるのか」について踏み込んで伝えてくれる番組はほとんどありませんでした。言論の自由が保障されている日本ですが、情報統制されている国のような感じを受けました。
未曾有の自然災害がきっかけではありますが、この事故に関して東京電力は確かに責められるべきです。過去にも多くの情報を隠ぺいし、100%安全な原子力は存在しないのにあたかもそれが存在するかのような神話を流布し、いざという時の対策を怠ってきました。しかし、東電だけのせいではありません。国・市町村や国民市民はただの被害者ではなく、その責任者です。原発を推進する政党に一票を投ずることによって、私たちが原子力発電による電力供給を選択したのです。私たちはいったい原子力発電の何を知っていたのでしょうか。危険であることはもちろん知っていました。でも、誰か専門家がきちんと考えてくれるし、誰か専門家が安全対策をとってくれるし、誰か専門家が事故を即座に収拾してくれると思いこんでいました。原子力発電のような市民の生活に甚大な被害をもたらす事についても考えることを放棄して、人任せにしていたのです。
そろそろ、ちゃんと考えていきましょう。
大政党だから、しっかり考えてくれていると思うのは妄想でしかありません。大政党だから、国民・市民の思いを受け止めた政策を実行してくれるわけではありません。大政党にしてもテレビ局などのメディアにしても東京電力のような大企業にしても、それ自体が巨大な生き物のようになり、そこに利権が絡み、結果的に私たちひとりひとりの市民は切り捨てられていきます。
生活者ネットワークは、市民の感覚を失わないで政治に参加していきます。ひとりひとりが考えたことを暮らしに活かしていきます。24日は投票所に足を向け、政治を自分たちの側に近づける日にしましょう。
森 契子