基準の見直しを求めましょう

原発事故は私たちにおごりと無知(考えないこと)の怖さを突き付けました。
テクノロジーは悪ではありませんが、使い方を間違えると悪になります。高度のテクノロジーは一般市民には難しすぎて、その使い方を専門家だけに任せがちです。でも、一般市民の感覚で、原発や化学物質などの危なそうなもの・わけのわからないものについてはもっと慎重に議論し、もっと慎重に社会に取り込むべきなのかもしれません。

さて、4月に文部科学省が福島県教育委員会等に通知した「学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」は、福島県のみならず全国の人々を驚愕させています。学校の放射能量の目安を20ミリシーベルト/年としたこと自体、子どもを守る意識のなさを露呈しています。子どもたちが高い値の放射能を浴びることは絶対に避けるべきですし、この数値は許し難い基準値です。また、基準を20ミリシーベルトに設定した結果、それ以下の値の校舎・校庭は安全かのような錯覚を与えてしまうことも大きな問題です。

国がこのような態度をとるのは全く情けない限りですが、過去の公害病などの歴史を見ても想定内の動きです。では、私たちは今回の国の決定をそのまま受け入れるしかないのでしょうか?いえ、ここで声をあげるべきです。
福島では有志が校庭の表土を除く作業をし、少しでも安全な環境を与えるよう動いている所もあります。この市民の動きに対し、まずは町や市のレベルで親身になった対応を講じるべきです。制約は多々あるでしょうが、国や県がなかなか迅速に対処してくれない以上、市民に一番近い自治体がまずは動き出すしかないでしょう。
そして、国や県を動かしましょう。
日本中の国民が、自分たちの子どもを守るために抗議しましょう。(抗議というと日本ではマイナスのイメージが付いていますが、ちゃんと気持ちや意見を伝えるという行動です。)
生活者ネットワークも、各自治体の議会から政府に対して「20ミリシーベルトの見直しを求める意見書」を提出する準備をしています。
森 契子